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不動産の取得者を変えることで 相続税を減額した事例



藤野税理事務所


● 不動産の取得者を変えることで、相続税を減額できた事例。

● 被相続人(お亡くなりになった方)は、個人事業主としてうなぎ屋を経営していた。

● 配偶者と長男は被相続人の仕事を手伝っており、家族で事業を営んでいた。

● また、被相続人はA土地(300㎡)とB土地(250㎡)を所有していた。

● A土地の上にある建物は、自分の自宅として配偶者と住んでいた。

● B土地の上にある建物は、自分のうなぎ屋の店舗として利用していた。

● 長男は近所の別のところに居住しており、父、母と同居はしていない。

● 親族関係、不動産の状況は上記の通り。





相続税申告のご依頼を頂いたお客様で、初回面談の結果、母と長男の心配事は大きく分けると以下の2点でした。



①うなぎ屋の事業承継


父が営んでいたうなぎ屋は近所でも評判のうなぎ屋で、多くの職人さんが働いていました。


常連客もついており経営自体は問題ないとの見通しでしたが、長男はまだ修行中の身であり、職人の世界という中で長男が個人事業主として父の跡を継いだ場合に、他の職人さんが長男についてきてくれるかという点を気にされていました。




②相続税額


A土地とB土地は駅の近くにあり土地の評価額が高額になるため、自宅(A土地)、またはうなぎ屋の土地(B土地)を売らないでも相続税額が支払えるのかどうか、という点をご心配されておりました。


対象地は先祖代々引き継いだ土地であるため、父が祖父から財産を相続した際にも同じように相続税の納税の心配をしていた、との事でした。




①うなぎ屋の事業承継


一意見に過ぎないと申し上げたうえで、うなぎ屋として個人事業主の立場を引き継ぐのは母で、長男は従業員として母から雇用される事をご提案致しました。


職人の世界は他の世界と比較しても、よりその人の腕を見られると経験上感じており、その点は共通認識でした。

また、代変わり時は常連さんから味が落ちたね、といわれる可能性も高く事業承継を慎重に判断する必要がありました。



いま事業を引き継ぐよりも、長男の成長を待ってバトンタッチする方が円滑な事業承継が達成できると想定されたため、母が一度間に入る事をご検討頂きました。





②相続税額


原則として、自宅は配偶者が相続する方が望ましいため、A土地とその上にある自宅は母が相続するのがセオリーとなります。


自宅を配偶者が相続しなければならない理由としては、仮にその自宅を配偶者ではなく長男が相続した場合には、長男がその気になれば自宅を売却することができ、その場合には配偶者の住む家がなくなってしまうためです。

(持分を共有にしたり、配偶者居住権という制度を利用する方法もありますがここでは割愛します)


よって、A土地は母が相続することが前提のため、その上でいかに相続税を減額できるかを検討していきました。




【特例の適用の検討】


(1)小規模宅地等の特例


小規模宅地等の特例とは、宅地や取得者について要件を満たした場合には一定の面積まで、土地の評価額を80%(他人に貸している土地については50%)減額できる制度をいいます。


例えば1億円の土地があるとした場合、小規模宅地等の特例を適用しない場合には評価額は変わらず1億円のままですが、小規模宅地等の特例を適用した場合には8割引きの2,000万円で評価できることになります。


小規模宅地等の特例は特例を適用するために様々な要件があり、相続税申告について小規模宅地等の特例を適用できるかどうかで相続税額が大きく違ってくるため、なるべくこの特例を適用できるような相続税の申告書を作成することが肝要となります。




本事例の場合、A土地については居住用の宅地、B土地については事業用の宅地に該当するため、この小規模宅地等の特例の適用をできるかどうかをまず検討していきました。


■A土地

A土地については配偶者である母が相続するため、無条件で小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)を適用する事ができ、A土地について土地の評価額を80%減額することが可能です。

(仮に長男がA土地を相続した場合には小規模宅地等の特例の要件を満たさない事となり、A土地について80%減額する事ができません)



■B土地

B土地については母が事業を引き継ぐため、こちらも小規模宅地等の特例(特定事業用宅地等)を適用する事ができ、B土地についても土地の評価額を80%減額する事ができます。

(仮に長男が事業を引き継ぎ、B土地を相続した場合でも小規模宅地等の特例の適用があり80%減額になります)


よって、A土地とB土地の両方を母が相続した場合には、A土地とB土地の両方について小規模宅地等の特例を適用する事ができ、その土地の評価額を80%減額する事が可能となります。




(2)地籍規模の大きな宅地


今回一番の大きな論点は、B土地を母が相続しない場合には、『地籍規模の大きな宅地』の適用がない、という点になります。



地籍規模の大きな宅地とは、簡単にいうと三大都市圏で500㎡以上(それ以外の地域では1,000㎡以上)で、他の要件を満たした場合には、その土地の評価額を約20%~30%程度減額することが可能となる宅地をいいます。


このお客様の場合、対象地について地籍規模の大きな宅地の適用がある場合には、約1,000万円ほど土地の評価額を減額できることとなりました。




我々が相続税の申告書を作成する場合にはまず、税額が一番最少となる遺産分割案をご提案致します。

そのうえで相続人の方の意見を伺いながら、こうしたらこうなる、ああしたらああなる、というような感じで最終的な分割案を共に作成していきます。



今回もまず、相続税額が最少となるような方法を模索し、A土地とB土地の取得者を検討していきました。




■A土地とB土地の両方を母が相続した場合(ご提案)


藤野税理事務所


土地の評価額を算定する際、大原則として取得者が相続した土地ごとに評価をしていきます。


A土地とB土地の両方を母が相続した場合には、A土地とB土地は母一人が取得者となるためA土地とB土地を合わせて一つの土地として評価します。


A土地300㎡とB土地250㎡を合わせて一つの土地として評価した場合には、トータルでの評価対象地の面積は550㎡となり、500㎡以上であることからA土地とB土地の両方について地籍規模の大きな宅地の適用をすることが可能となります。





■A土地を母、B土地を長男が相続した場合


藤野税理事務所


土地の評価額を算定する際、大原則として取得者が相続した土地ごとに評価します。


この場合、A土地とB土地は取得者が母と長男で異なるため、先ほどの事例と違ってA土地とB土地は別々に評価する事になります。


そうするとA土地300㎡、B土地250㎡と別々で評価するため、いずれの土地も500㎡には満たない事になります。


500㎡に満たない場合には地籍規模の大きな宅地の適用がなく、評価額を減額する事ができなくなってしまいます。



よって、相続税額のみを見た場合には、母がA土地とB土地を相続するのが相続税額が最少となる遺産分割案となります。






上記の特例の適用の有無による相続税額の違いについてご説明差し上げ、最終的には地籍規模の大きな宅地の適用があるような遺産分割協議書を作成するために、A土地とB土地について母が相続する事で決定しました。



結果として、相続税で認められている特例を駆使することで土地の評価額について、


● 地籍規模の大きな宅地の適用で約20%~30%の減額

● 小規模宅地等の特例で80%の減額


をする事ができ、土地を売却せずとも相続税を無事納税する事ができました。





ポイント① 

小規模宅地等の特例が適用できるような遺産分割を行う。



ポイント②

地籍規模の大きな宅地は、土地を相続する取得者を変える事で適用できる場合がある。




相続税申告なら藤野税理士事務所へお任せください!







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